夜勤の恐怖

 

介護士の誰もが一番怖い出来事は、夜勤時の入居者さんの転倒だと思います。

グループホームですと、1ユニットに入居者さんが9名まで

…といった決まりがあるので、夜勤時は最高でも9名看るだけで良いのですが

その分給料も安いという罠(笑)

 

それ以外の所では

入居者さんが60名に対し、夜勤者が2名といった所も珍しくはありません。

単純計算すると、1人の介護士が30名の入居者さんを看るのですから

夜間とはいえ堪ったものではありません。

1人が休憩(仮眠時間)に入っている間は、その60名を1人で看るのですから。

 

夕食が終わるまでの仕事は、ここでは割愛しますが

その後の仕事は、眠前薬配布(と言っても配るだけではありません。)

排泄介助&オムツ交換・水分補給・体位交換・コール対応・見回り。

これらの他に、洗濯物整理(日中洗濯した入居者さんの物)や

共有部の掃除や消毒等々の雑務。

勿論、日報や安否確認での状態報告等の記載物もあります。

…てな訳で、救搬があるとバタバタになるのです。(笑)

 

オムツ交換をしている間も、徘徊者は待ってくれません。

勿論コールも(笑)

 

今は『身体拘束禁止』になりましたので、

言い方は悪いのですが、徘徊者は野放し状態です。

 

ベッド周りの柵、所謂四点柵なのですが

これを付けるのも拘束になるので付けられません。

ですので徘徊者はベッドから降りたい放題。

 

各居室の扉を、出て来ないように施錠するのも『拘束』になるので施錠出来ません。

ですのでベッドから降りた徘徊者は、室外へ出たい放題。

 

オムツ交換中、これらをどう対処しろっつーねん!

徘徊がある入居者さんに対し、夜間はセンサーマットを用意するのですが

それが鳴っていても、行くに行けないし!@オムツ交換中

『身体拘束ゼロに』てのは机上の論。奇麗事ぬかすんじゃねぇ!

それならそれで、もっと人員増やせよゴルァ!

 

そういった事情もあり、夜間の転倒は『運』まかせな一面があります。

 

夜勤時、ゴトン!といった異音が恐怖です。

何処かで誰か、転倒したのか!?と。

もしくは、居室へ訪室した際の転倒発見も恐怖です。

処理や対応に時間がかかるので。

 

転倒があった場合、まずは出血の有無・意識確認・体の傷や打ち身等の確認・

受け答えレベル確認をした後にバイタルチェック。

KT(熱:体温)・血圧&P(プルス:脈拍)・SPO2(血中酸素濃度)を測るのですが、

小規模の所ではSPO2を測るパルスオキシメーターが無く

測らない(測れない)所もあります。

たま~に「意識もあって、受け答えもシッカリしてて大丈夫そうなので

何も測っていません。」と言う介護士がいますが、これはかなり危険です。

 

もしも頭等を打っていて、その時は大丈夫であっても後から嘔吐したり

意識混濁や喪失があったりすると、転倒時に対応した介護士責任になります。

『大丈夫そうだった』というのは、あくまでも主観なので人によって見方が変わります。

誰が見ても『大丈夫そうだった』という根拠を示すのに、バイタル数値記載は必要です。

その時は面倒に思っても、自分の身を守る方法でもあります。

 

出血があった場合は、病院連絡をしなければならないので

バイタルチェックの数値は必須ですけどね(笑)

 

が! 認知症の方だと、血圧を測るのにかなり時間がかかる事がよくあります。

認知症があるからこそ徘徊するのであって、転倒リスクも高いです。

 

転倒した事にビックリして興奮してしまい、暴れて血圧が測れない事が多々あるのよね。

認知症故、転倒した事が理解出来ず

中には、いきなり(誰かに)痛い事をされた!と思ってしまう方もおられます。

そういった場合、その方にとっては血圧測定で更に痛い事をされる感が…ね。@暴れる

 

暴れたりせず大人しく腕帯を巻かせていただけても、測る時の締め付けで

普段でも「何これ?痛い!」と腕をブンブン振り回したり外してしまったりで大変です。

 

その後も転倒者対応の様観(様子観察)にて

見回りとは別に、何度か訪室して覚醒していればバイタルチェックをしたりする等

その時の状態記載もあります。

そして、日勤者が出勤してくる頃には事故報告書作成が待っています。

もし、怪我があった場合は医師の指示に従い、すぐさま救搬したり

朝になってからの病院受診になる事もあるのですが、これがまた…ちょっと…ね。

 

ご家族様にしてみれば、「お金を出して看てもらってるのに、怪我をさせるとは!」

と、なる訳でして。クレーム!クレーム!クレーム!

たまに、事務所に怒鳴り込んで来て居座るご家族さんもいらっしゃいます。

 

 

夜勤者は『転倒がありませんように』と、いつも祈るのみ。

 

sanzunokawa について

イソラ
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夜勤の恐怖 への2件のフィードバック

  1. NAOK より:

    こんばんは。
    夜勤の現場の実態…こらほんま大変な職務だ。使命感が無ければできないんやないかなあ。時に昨日のような大停電(関東のね)が起こって非常用電源も使えないとなれば、介護職員の方々は…想像を絶する世界。
    あらゆる事態を想定してても、突発的な何かが起こって対処せんとあかんこともあるやろしね。今晩も日本中の施設では…やろなあ。
    イソラさん、ただただ尊敬です。

    • sanzunokawa より:

      こんんばんは。いつもコメントありがとうございます。
      使命感なんて、とんでもない(笑)
      他の方々と同じように、仕事です(笑)
      いい加減な所では、入所者さんが亡くなっても何とも思わない酷い所もあるので
      そういう所だと介護士の仕事も『楽』かもしれません。

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