成仏した親子

 
だ~いぶ前、我家には女の子がいた。
 
〝いた〟と言っても住んでいる訳ではない。 常連(?)さんの〝あちらの子〟。
 
私達家族とほぼ同じ活動時間だったので、さほど気にもとめずにいた。
 
何故か現れるのは2階限定でw
 
 
 
日中、2階の部屋を行ったり来たりと楽しそうにパタパタ走り回っている事がよくあった。
 
小2か小3ぐらいの女の子で、髪はオカッパを長くした肩につくぐらいの綺麗な髪。
 
白いブラウスに紺の吊りスカートをはいていた。
 
 
 
その子の事は、視たり走り回る音を聞いていたりして家族の皆が知っていた。
 
今日もまた走り回ってたわ。
 
しょっちゅう いるみたいやな、あの子。
 
たまに、お風呂に入ってる時にも出て来るで~(笑
 
うわ…私そーゆーのんアカン。 (家族の) 誰かがいる時やったらえぇけど、やっぱまだ怖いぃぃぃ。
 
何言うてんねん。 えぇ加減慣れろよwww
 
 
 
 
そう、我家には私の次に〝視える〟者が一人いる。
 
ぶっちゃけ言うと、私の娘だ。
 
時々視える程度なので、慣れていないせいか未だに怖がる。
 
スマン、娘よ。 視えるのは〝血〟だから諦めろ(^^;
 
 
 
 
母方の〝血〟は、よく一代置きに濃く出る者がいるらしく、丁度それに当たったのが姉ではなく私の方だった。
 
そう、墓場のババ様もその一代置きに当たっただけ。
 
濃く出ずとも〝血〟を受け継ぐ者は、全員もれなく一度は〝そういう体験〟がある…という、回数の違いなだけ。
 
もしかすると〝血〟に関わらず、誰でも1度は〝そういう体験〟があるのかもしれませんがw
 
ただ母方の家系の者は、視えてもそれが自然な事…といった感じです。
 
(でも、「他の者には知られるな。」的な…(笑 )
 
 
 
 
 
娘が小学生だったある日、風邪で熱を出した時に様子がおかしくなった事があった。
 
急に泣き叫び、何かを恐れての興奮状態。
 
暴れる我が子を抱きしめて、
 
どうした? 何がそんなに怖いんや? 言うてみ? 大丈夫。 大丈夫。
 
出来るだけ全身を包む様に抱きしめながら、娘をさすりながら聞いてみると
 
怖い! そこの人が怖い! こっち見てる!
 
私には視えない。
 
今、そいつは何処にいる?
 
後ろ! 後ろにおって…  と、娘が後ろを振り向いたと同時に ギャー!と叫び (娘が) パニックに陥った。
 
娘が暴れない様、ガッチリ抱きしめながら
 
おんどれはどっか行かんかぃ! と、怒鳴りながら娘が見ていた空間をバシッ!と一度手で払い暫く睨み付けていた。
 
 
 
 
神経を集中させ、何か気配を感じるかを探ってみたけど何も感じない。
 
もう怖がらんでえぇ。 怖い人はどっか行ったで? ほら見てみ? 大丈夫やから。
 
恐る恐る振り返る娘。 暫くジッと見つめた後、フッと身体の力を抜いたので
 
まだおるか? おらんやろ?
 
うん。 もう いてない。 怖かった。 男の人がジッとこっち見てて怖かった。
 
 
 
 
熱の為、幻覚を見たのか本当に〝いた〟のかは その時の私には解らなかったが
 
数週間後〝何か〟を感じて、箪笥の上に目をやると…
 
箪笥の上の狭い隙間(…とは言っても50cmぐらい)に
 
ごつい体格の男の人が、前屈みの正座姿でこっちを見てる。
 
物質的に、あの空間であの体格が収まるのは有り得ねえぇぇぇーー!/( ̄皿 ̄;)\
 
(…てな事、よくある出来事なんですけどね~(笑 )
 
 
 
とにかく 「コイツか? コイツが、うちの娘を怖がらしたのか?」…と思うと、カーッ!となった。
 
箪笥の上の〝そいつ〟と暫く睨み合いになった。
 
おいオッサン、こちとら必死こいてショバ代払っとんじゃ。
 
死んだからって大きな顔してえぇと思っとんかぃ?
 
でかい顔するんやったら、ちゃんとショバ代払えやごらぁ!
 
その〝オッサン〟に向かって、暫く毒付いていると消えてしまった。
 
何も言わずに逃げるんかぃ! (▼皿▼#)
 
 
 
一応人違いだったら相手(?)に悪いから、娘に聞いてみる。
 
前、怖がってた男の人って髪はどんな感じだった?  短い毛。
 
横の毛がこれぐらいで上の毛がこんな感じ?  うん。
 
…という様に、交互に特徴を言い合い 見事ビンゴ♪
 
 
 
そんなある日、いつもの〝女の子〟がチョロチョロしだした時
 
箪笥の上の〝オッサン〟が現れた。
 
〝オッサン〟が〝女の子〟をジッと見つめている。
 
〝女の子〟には〝オッサン〟が見えない様だ。
 
優しい感情が私に流れ込んで来た。
 
 
 
どうやらこの〝オッサン〟は〝女の子〟の父親らしい。
 
〝女の子〟と同時期に死んだのかは、私には解らない。
 
自分が死んだ事に気付かず、いつまでもこの世で迷っている我が子を心配して〝来た〟様だ。
 
 
 
少し哀しげな顔をしながら、優しい眼差しで我が子を見る父。
 
何も知らず、無邪気に遊ぶ娘。
 
 
 
そうか…そういう事情だったのか…。
 
う~ん…事情が解っても、そのガタイでイカツイ顔した〝オッサン〟だからなぁ…
 
そういう人にジッと見られたら、そらぁ~うちの娘も怖がるわサ…(  ̄_ ̄ ||||)
 
うっしゃ! 事情は解った。〝あの子〟がうちにいる限り、別にアンタもいてもえぇわ。 好きにしぃや。
 
ただーし! うちの娘を怖がらせるな! 怖がらせたら容赦せんぞ。 えぇな?
 
(…と言いつつ、どうやればいいのか やり方を知らない私~(笑 <容赦しない )
 
〝オッサン〟がチラッとこちらを見たが、再び〝我が子〟に視線をうつす。
 
シカトかよっっっ!!( ;゚皿゚)9))) 
 
何シカトこいとんじゃあぁぁぁ! (怒りMAX )
 
うちの子怖がらすんやったら 出て来んなっっ! ぼけがあぁぁぁ!
 
怒りをぶつけると消えてしまった。
 
クソッ! またしても逃げられたか…_| ̄|○||||
 
 
 
その日から〝オッサン〟は、何度か現れていたが私の娘が視る事は無かった。
 
一応怖がらせてはいけないと思い、気を使ったのかもしれない (笑
 
我家に何年位いたのかな? とにかく長きに渡り〝いた〟けれど
 
いつしか〝女の子〟は いなくなった。 そして〝オッサン〟も …。
 
たぶん成仏したのだろう。
 
 
 
 
そして私は娘に言った。
 
最近あの女の子、もうおらんやろ?
 
あ…そういえば…。
 
あの時の〝オッサン〟も、もうおらんよ。 一緒に〝上がった〟みたい。
 
はん! 他にもまだ〝おる〟ねんから、1人や2人減ったぐらいで関係ないわw
 
う…確かに Σ( ̄▽ ̄;)
 
 
 
 
他にも〝常連さん〟がいる我家です(笑 
 

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