脱水症状

 
 
 
脱水症状が原因で亡くなられた方がいた。
 
 
 
 
〝喉が渇いた〟という時点で、既に軽症の脱水を起こしているんだけど
 
高齢者の場合、渇中枢の感受性が低下しているので
 
〝喉が渇いた〟と自覚した時には、脱水症状がかなり進行している事が多い。
 
 
 
 
その上神経系の障害にて、夏場に蒸し風呂のような暑い部屋の中でも暑さをあまり感知出来ない人も多い。
 
それどころか、外からの生ぬるい風であっても「寒い!」と言い出す人や 沢山服を着込む人もいる。
 
勿論、身体は暑がっているのだから汗をかいている。
 
 
 
 
亡くなったその方は、殆んど認知症も無く頭はハッキリしている人だった。
 
それ故、とてもやり難い人だった。
 
 
 
 
いくら水分補給を促しても
 
私は今、喉は渇いてないんだから放っといてちょうだい!
 
唇を濡らすだけでも…と、おすすめしても
 
さっき自分で飲んだんだから、いらん事しないでちゃうだい! 喉が渇いたら自分で飲みます!
 
水分量が足りていない事を説明しても
 
自分の体の事は私が一番知ってるんだから、あなたにそんな事言われる筋合いはないです! いちいちうるさい!
 
水分補給を促すと、必ず声を荒げて怒る怒る…。
 
 
 
 
 
その人の居室へ、スタッフの誰が行ってもそんな感じでしっかりとは水分補給が出来なかった。
 
そんなある日、その人の居室へ夜勤者が早朝のオムツ交換に行った時
 
「体がだるくて苦しい。」との訴えと嘔気の訴えがあり、意識の混濁が始まったそうだ。
 
即、救急車で病院搬送されたが翌日の夜に亡くなられた。
 
 
 
 
 
救急車が来るまでのまだ意識があった時、その時のスタッフに
 
何でも言う事聞くから、この苦しみから助けて!
 
そう言って、すがりつかれた…と、涙を浮かべて言っていた。
 
 
 
 
寝たきりで、元々体力がないからこそ
 
直ぐに脱水症状が重症化するので、水分補給を促していたのだけれど それを拒んでいたのは本人さん。
 
私達にしても、無理矢理口をこじ開けて飲ます訳にはいかない。
 
冷たい言い方をすれば、自業自得なんだけど…。
 
 
 
 
そうならない為にも、皆で色々努力してきたが
 
本人さんが後悔した時には、既に遅し。
 
もう少し…もう少し早く、私達の言葉に耳を傾けて欲しかった。
 
 
 
 
逆に、認知症が進んでいる人だと
 
さっき飲んだから、もういらん!
 
「さっき」と言ってももう、3時間程経ちますよ? ですから、もう一度飲みましょう?
 
ついさっきやと思ったんやけど、そんなに経ってたんか~。
 
と、飲んでくれる。
 
実際には、ホントに20分程前の〝さっき〟なんだけど 大嘘こいて飲ませてる。
 
 
 
他にも、
 
5口でいいから、飲みましょうよ? ね?
 
身体の弱った高齢者だから、1口飲むのに時間が掛かる。
 
はい! 5口飲みましたよ~。
 
本当に5口 ちゃんと飲んでいるが
 
まだ、3口しか飲んでいませんよぅ。 後2口頑張りましょうよ?
 
あれ? まだ3口しか飲んどらんかったっけ? 
 
はい! まだ3口です!
 
と、自信(?)を持って大嘘こいてシッカリ水分を摂ってもらってる。
 
 
 
 
 
 
現場では、頭がハッキリしている飲んでくれない人に困ってる。
 
それなのに、「しっかりと水分補給をしてあげて下さい。」と〝上〟や医師からきつく言われる。
 
勿論、形を変え品を変えて水分を摂ってもらうようにはしているものの
 
それでも、ダメな人はダメでして…
 
 
 
 
どうやったら、しっかり水分摂ってもらえんねんっ!!!?
 

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