立場が変わると、見方も変わる。介護の仕事に就いていると、認知症の人を騙して入居させないでくれ…と ついつい思ってしまう。『今日はちょっと出掛けましょうね。』 『今度のデイサービスは、ここに変わったから』 等々色んな嘘を付かれて、連れて来られる入居者(利用者)さんがいる。こちらとしては、ちゃんと説明をして納得させてから連れて来てよ…と思ってしまう。入居して来た人にとっては、嘘を付かれている事を知らぬが故「いつになったら家に帰してもらえるの?」「どうして家に帰してもらえないの?」…となる訳でして。 そして興奮して他の入居者さんに迷惑を掛ける。迷惑を掛けていても、自分としては正当な理由での興奮。家族にしてみれば、そういう場所への入居を本人が拒んでいる。現実問題、仕事に行っている間 認知症のある者を家に独りで置いておく訳にもいかずかと言って、仕事で疲れて帰宅してからの介護は心身共に追い詰められていく。だから、嘘を付いてでも入居して欲しい。家族さんがイナイ人の場合、行政が独居は無理と判断しての場合もある。でも、本人は独居を希望。その事で、周りに迷惑を掛けている事も理解せず…。例えば、火の不始末で何度もボヤ騒ぎを起こしている等。認知症があるのだから、仕方がないのだけれど 「仕方がない」 では済まない事。そして、本当の意味で在宅介護をした事が無い者程家族なのに家で看てあげないとは、薄情な人だ…と思う人。看た事が無いので、頭の中だけでの判断しか出来ないのも無理はない。(机上の論的な気も、しないではないが)それぞれが、それぞれの立場で物事を考えると納得がいく。納得出来ても、これといった解決策が無いのも現状。人の〝思い〟に、これが正解。 …といった一つの答えは無い。
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