認知症

 
 
プライベートの事では、今日あった事も書いているけれど
 
仕事上での事は、かなりの期間ズラして書いている。
 
数週間前だったり、数か月前や1~2年前だったりとランダムで。
 
 
 
だから、全ては過去の事。
 
もう、終わってしまった事。
 
 
 
書く事の出来ない内容だって沢山あるので
 
全く書かなかったり、書けない部分のみを省いて書いたり。
 
 
 
もう過ぎ去った過去の事とはいえ、頭の中の引き出しを開けると
 
鮮明に思い出される。
 
相手の表情、その時の感情等々。
 
 
 
自分で開けた引き出しならば、まだいいのだけれど
 
勝手に開いた引き出しだと、思いださなくてもいい事までも
 
次から次へと出て来てしまって、ちょっと…ね…(苦笑
 
 
 

 
 
 
とある男性の足には刺青がある。
 
「刺青」 というより 「入れ墨」 かな?
 
一人の女性の名前が彫ってある。
 
 
 
彫られている女性の名前は「奥さん」だ。
 
でも、戸籍上の「奥さん」ではない。
 
 
 
そして、どう見ても素人が彫った仕上がり。
 
どのぐらい前に彫られたのかは、私も知らない。
 
ただ、1年や2年程の年数ではなく もっと前に彫られたモノというのが判るぐらいだ。
 
 
 
その男性は認知症にて、自分の事すらままならない。
 
ただ単に、「奥さん」の事が好きで彫ったのか?
 
それとも、忘れないように…と彫ったのか?
 
 
 
入浴の際、その入れ墨の名前をジッと見ている時がある。
 
そして、指でそっと名前をなぞっては哀しそうな顔をされる。
 
「奥さん」の名前は、もう覚えていない。
 
 
 
それでも、その入れ墨が大切な人の名前だ…という事は覚えていらっしゃるご様子だ。
 
勿論、「奥さん」も〝此処〟にいらっしゃる。
 
 
 
時々「奥さん」の事を思い出しては 
 
どこにおるんや? と、その姿を捜される。
 
でも、名前は出て来ない。
 
 
 
「奥さん」の居室へ案内すると
 
あぁ~、そこにおったんかぁ~。 と、嬉しそうな顔。
 
「奥さん」の方は、受け答えも出来ないぐらいに認知症が酷く、「旦那さん」の事ももう覚えていらっしゃらない。
 
そして、呼吸器付けての寝たきり。
 
 
 
それでも、色々「奥さん」に語りかける。
 
語りかけては、「奥さん」をジッと見る。
 
 
 
 
 
 
 
自分の居室にいらっしゃる時、
 
自分の名前と「奥さん」の名前を書いたカードをジッを見つめている時がある。
 
微動だにせず、ただジッと。
 
 
 
 
 
〝名前〟を見つめている時、いったい何を思っているのだろうか?
 
その時いつも、哀しそうな顔をされている。
 

sanzunokawa について

イソラ
カテゴリー: 仕事 パーマリンク

コメントを残す