介護殺人

 
 
 
介護殺人や介護に伴う自殺の事件の度、「こうなる前に、どうにか出来なかったものなのか?」
 
てなコメントを言う人を見て、腹が立つ事がある。
 
そういう風に言う者こそ、自分が中心になって介護をした事がないんじゃないか?…と。
 
〝手を貸す〟程度の介護しか、した事ないんじゃないか?…と。
 
どうにも出来なかったから、そうなったんだろがっ!
 
在宅介護の現状を知らな過ぎる。
 
 
 
 
そして簡単に「施設に入れるとか、デイサービス等のサービスを利用するとかして。」と言う。 <どうにか
 
色々な要因があって、それが出来ない場合だってあるんでぃ!
 
 
 
 
施設の場合、利用者側に持病があれば色んな意味でその対処が出来ない…という事で入所出来ない場合がある。
 
他にも金銭的な問題、利用者自身が入所を嫌がる場合や迷惑行為がある場合の施設側からの入所拒否。
 
 
 
 
それに、その施設に対し家族側が納得出来ない場合。
 
これについては、何とも言えない部分がある。
 
大切な家族だからこそ、ちゃんとした介護をして欲しいという家族の思い。
 
勿論、施設側がちゃんとした介護をしていない訳ではない。
 
 
 
 
施設では、在宅介護のように1対1の介護では無い為〝至れり尽くせり〟という訳にはいかない。
 
その為、家族側からすれば もっと〝ちゃんと〟して欲しいとの不満が出てしまう。
 
〝ちゃんと〟の基準が違う訳だ。
 
 
 
家族も利用者自身も、そこの施設に入りたい…と思っても〝待ち人数〟が多くて入所出来ない場合もある。
 
我が家の場合も、入所待ちが97人いた。
 
順番が回って来るまでに寿命がくるやろがっ! 順番が来るまでに何年掛かる?
 
ただ、この場合 介護度数によっての順番の繰り上げはある。
 
 
 
 
デイサービスやショートステイのサービスにしてもそうだ。
 
介護保険に伴うサービスの根本には、利用者自身の〝思い〟を大切にする…というのがある。
 
その為入所は勿論「ずっと家に居たい。」と、それらのサービスを拒む利用者自身も結構多い。
 
デイサービス等で、施設側が迎えに行っても拒む利用者を無理矢理連れて行く訳にはいかない。
 
(勿論、なだめたり気を逸らしたりする努力はするが)
 
 
 
 
じゃ、持病があるから入院でも…と考えても
 
その病気に対し、もう〝治療〟として出来る事がない場合は無理だ。
 
急変して入院しても、それが治まれば退院しなくてはならない。
 
この場合、入院前よかレベルが下がって帰宅するのだから介護負担は更に大きくなっている。
 
 
 
それに、デイサービスやショートステイにしても一過性の対処なだけだ。
 
その一過性の対処の間に、利用者自身の寿命がくれば何とか乗り越えられるだろう。
 
でも現実は、2年3年と続くうちに疲労が蓄積されてしまう。
 
介護する側の体力の問題もある。
 
1年であっても体力がもたない場合もある。
 
だからといって、介護者側の責任なんてものはない。 
 
身体的負担も大きいが、子育てと違って「あと何年したら楽になる。」というものが無い 先が見えない精神的負担。
 
それこそ、色んな要因があるんだから。
 
 
 
 
私自身も、在宅介護をしていて 何度もこの疲れから解放されたい…と思った事がある。
 
それなのに、少しでも長生きして欲しい…との矛盾した思い。
 
ただ私の場合、家族人数が多かった為 他にも〝人の手〟があったから乗り切れたにすぎない。
 
事実私の担当(?)は、殆んどが移動の際担いだりする力仕事が主だった。
 
 
 
 
 
ある知り合いの N 氏が言っていた。
 
N 氏は、姉と弟の3人兄弟。
 
初めは姉が、介護が必要な母親の面倒を看ていた。
 
認知症故か、ただのワガママなのかは解らないが
 
その母親が頻繁にN 氏の職場に電話を掛けて来るものだから仕事にならない。
 
 
 
 
そして過労で姉が倒れて入院。 
 
次は弟が面倒を看る事になったが、これまた過労から入院。
 
N 氏自身が介護する事になったが、電話をして来たり等色ん事があって退職せざる得なくなった。
 
それまででも、その母親を施設に入れたり色んな事を試みたが
 
その母親は、入所しては脱走してタバコを持ち込みボヤを起こしたりして強制退所。
 
「こんな所、来たくて来たんじゃない!」と暴れ回ってスタッフに怪我を負わせたり物を壊したりしての強制退所。
 
『今度そういう事があれば、ここで面倒は看きれません。』と言われていたのに またしても…てな繰り返しで
 
もう、どこも看てくれる所は無くなった。
 
 
 
「自分の子供が(過労で)倒れたりしてるのに、何とも思わず迷惑ばかりかけて それでも親か!!」と
 
母親に対し、憎しみが向けられていた。
 
母親にしても、認知症にてそういう行動になっているのかもしれない。
 
でも、N 氏にとっては四面楚歌状態。
 
 
 
 
 
こういう場合でも「どうにか出来なかったのか?」と言えるのだろうか?
 
勿論、事件を起こさずそれに耐えてる N 氏。
 
 
 
 
 
以前、事件ではないが近所の人で、舅さんが入院していて認知症の姑さんの介護を一手に引き受けてるお嫁さんがいた。
 
その人の旦那さんは、事故にて他界されている。
 
姑さんは認知症にて徘徊が酷く、施設に入れようにも金銭的問題でそれは無理だった。
 
そして、お嫁さんが過労で倒れてそのまま亡くなった。
 
後に残った入院中の舅さんと認知症の姑さんは、どうなるのか?が話題(?)になった事があった。
 
 
 
 
その頃、我が家も我が家で色んな事が重なりあって
 
冷たいようだが、他の家の事等構っている余裕もなく
 
我が家の事で精一杯だったので、その後どうなったのかは知らない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『こうなる前に、どうにか出来なかったものなのか?』
 
言うのは簡単だ。
 

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